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がんばる労働者

2006年6月19日

 19日の日記は、夜に疲れてしまってその日の内に書くことができませんでした。
 この日は昨日の結婚式から明けて、心機一転の労働日です。感性は鋭敏になり、見るものが新鮮になります。

 「がんばる労働者」というのは、自分を指した言葉ではありません。がんばっている姿を感じたシーンが2カ所、あったのです。
 一つめ、それは、いつも立ち寄っているそば屋さんです。東京山手線内、N駅の。店に入るやいなや、ごまをすりこぎで擂(す)っている店のおばちゃん。

僕:「珍しいですね、今時。ごまをすりこぎで擂るなんて。」
おばちゃん:「すりごまを買ったら、細かすぎるのよ。擂りすぎ。だから、こうして擂ってるの。みんな好きで使うのよね。」
僕:「へぇ!!スゲェ!このそば屋さん、他の店と違って、ホントにいいっすよね。化学調味料使ってないっていうし、ワカメとかネギとかいっぱいのせてくれるし…。」
おばちゃん:「本来はね、ワカメもネギも、チョンチョンとしかのってないのよ。でもね、みんなが来ると、入れてあげたくなるのよ。」
 …この後はオフレコです。店は決して広いわけでなく、店員であるおばちゃんたちが狭い店内の通路を抜けるときに客に当たることもあるそうです。箸や水などの消耗品類を補給するのに適した構造でもありません。僕には、純粋にここの労働者の努力によって成功しているんだと思う以外ありません。
僕:「失礼ですが、パート…ですか?」
おばちゃん:「そうそう、みんなそうよ。パートだと、厚生年金とか会社が払わなくていいでしょ。」
 そうか。こんなに忙しい中、こんなに客想いのおばちゃんたちも、いつでもクビを切れる労働者にされているのか。
 おばちゃんはその後、年金のお話をしてくださいました。
おばちゃん:「国民年金保険料、去年より2倍以上になったのよ。去年は収入がなかったとはいえ、2倍になるってことはないからねぇ。」
 …目の前に、なんの罪もないのに、今の政治に苦しめられている人がいる!そば食っている箸が止まって、話にくぎ付けでした。
 二つめ、それは、職場で取材に来た人たちでした。大きなカメラ持って、丸一日僕らの農薬抽出(8時間作業)に向き合って、主任の話を聞いて、休み時間は編集作業をするのです。テーマはやっぱり「食の安全」。なかなか大変な現状であっても、日本の農業を守ることにも繋がることです。しばらくすると心もうち解けてきますから、雑談もできるようになります。あの取材班の人たちは楽しんで帰れただろうか。

 一部の悪が多くの善を苦しめる一方で、まっとうにがんばっている人たちも凄くたくさんいる。…そう確信を持つにはまだまだ時間がかかりそうですが、今日みたいな経験一つ一つが、「人間捨てたもんじゃない」と少しずつ思わせてくれるのかもしれません。だから、もっと色んな人と話がしたい。がんばる労働者たちと。

天気:くもり時々晴れ

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