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影と光と(天売島:北海道苫前郡羽幌町)

2006年 5月 3日

 昨日の夜は胃もたれ…なのかな?おそらく、じわじわと緊張性の疲労感がたまってきているのでしょう。とはいえ、30日、1日と薬を飲み忘れ、そのせいもあるのかもしれません。
 ついに今日の夜、せっかく民宿の方がウトウを見せに連れて行ってくださるというのに、4月16日の歴史探訪の時みたいに急激に具合が悪くなってしまいました。食べ物はおいしいし、民宿の人もとても親切なのに、そのおもてなしを十分受けることができませんでした。無念でなりません。

 日中は天売島を一周しました。天売島は崖が多い島です。児玉民宿旅館は島の南東部にあります。そばにお店や郵便局、交番などがあります。そこから昨日ウトウを見に行った「赤岩」を経由し、「野鳥観察舎」、「観音岬展望台」、「天売灯台」、天売港、厳島神社、天売高校、などを通りました。全コース、昼飯などを合わせて、朝8時から16時40分。3時間で歩いて回るのは、本当に徹底的に見るなら不可能です。僕は、散歩の途中で会った旅人や島の人と話したりするのがすごく楽しみなので、こういうものも、立派な観光だと思っています。むしろ、それが大事、という勢いです。


 今日は赤岩の展望台と厳島神社(島の東部)がポイントでした。また、港で一休みしようとしていたとき、ウトウ見学に連れて行ってくださったNさんともお話しできました。

 赤岩の展望台は海が一面見渡せ、ウトウの巣穴が30万個もあるといわれています。そこで、東京から来た利尻フェチの人と話をしました。とりとめもなく、ね。

 厳島神社では、キバナノアマナ(ユリ科)イヌノフグリ(ゴマノハグサ科)が群生していて写真に興じていると、神社向かいに連休の帰省に来ていた女の子(4歳くらい?)二人とそのじいちゃんばあちゃんが三つ葉摘みに来ました。へぇ、三つ葉なんか生えてんのか、天然に。いえ、それだけじゃありません。アサツキ(ユリ科、現地ではシロと言うようです)も生えています。RちゃんとMちゃん。楽しそうに摘んでいます。札幌から来たらしく、やっぱりこういう自然の中で遊ぶのって、楽しいんだろうな。僕もそうだったよ。これからも元気でね。ばいばい。


 港でNさんとも会話。焼尻、天売、その他の観光の話などをしました。どこが綺麗だとかいう話じゃありません。学問的には、「経営学」的な話だと思います。ゴミが多さ、観光地での宿の料金体制のゆがみ、コミュニティの崩壊(かいつまんで)、そして、この言葉にはがつんと頭を殴られたような気がしました。

Nさんの言葉

 大観光地であることにあぐらをかいていてはいけない。いかに観光客が来たいと思うようなことをできるかをみんなで考えないといけない。

 僕はこういうニュアンスだと感じました。例として、湯布院(大分県)が成功していると話してくださいました。
 話が終わった後、悲しくて悔しくて、涙が出ました。あくまでもNさんの意見(ニュアンス)ですが、「理想を「できない」と諦めている人が多い」、そういう感触は僕にもあります。それは観光という意味にとどまらず、平和や失業、環境その他様々な政治経済的なものもそうです。だから悲しいのです。悔しいのです。だからといってその諦めが「自己責任論」で片づくものではありません。人々に努力すれば報われる条件整備をできる政治、人々の心の疲れの除去、それらを実現できないことに悔しさを感じます。運動って何だろう、そんなことを考えさせられます。
 今日も海岸を歩きました。やっぱりゴミでいっぱい。本来なら産業廃棄物なのかな、ホタテの貝殻が捨てられていました。でも、そうしてしまった漁師さんの気持ちや、今の漁師さんたちを取り巻く経済的な苦悩を僕は知りません。テトラポッドの隙間に捨てられたホタテの貝殻が訴えているものは見た目よりもずっと重い。ほか、打ち上げられ横転し、放ったらかされた船、どこからともなくフェノール臭(クレゾールかな)、ポリ容器…。こんなものを子どもたちに、あの屈託無くはしゃぎながら三つ葉を摘んでいたあの子たちに、残すというのか!…何もできないのが悔しい。僕は茨城に帰って何ができるだろうか…。

 今日は憲法記念日。9条が変えられようとしている問題と共に、25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を子どもたちに伝えることができるだろうか。
 青い空は青いままで子どもらに伝えたい…
 旅先で感じるいろんな矛盾。憲法記念日の名に相応しい一日になったのではないでしょうか。
 でも、やっぱり天売島、風景はすばらしい。海の透明感も、澄んだ空気も、魚のおいしさも、いいものです。明日、島を離れます。来てよかった。ただ楽しいだけじゃなく、大変学習させていただきました。花はエゾエンゴサクやキバナノアマナ以外に、ニリンソウ(キンポウゲ科)、エゾリュウキンカ(キンポウゲ科)(左)ミズバショウ(サトイモ科)(右)、ザゼンソウ(サトイモ科)なども咲いています。

 …しかし、一に体力二に体力、三・四に体力・五に努力。勝つは体力なり。体力がなければ何もできません。守りたいものがあるなら、体力をつける努力をせよ。

天気:晴れ(北海道苫前郡羽幌町(天売島))

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