雪山全力疾走(天塩岳【渚滑岳熊出沢林道縦走コース】:北海道網走支庁)
今日は2時に起きました。というか、目が覚めました。3時まで粘って寝ようと思えどムリです。いつものスパムスパイスチャーハンを食べ、4時10分、出発です。天気、良いですね。
気にはしていましたが、やはり薄雲が既に湧いてきています。ただ、まだ風が西寄りなので気圧の尾根にまでは達していない?
日の出は4時15~20分頃だと思います。ちゃっちゃか行きましょう。
天塩と前天塩の鞍部から差し込んだ朝日でモルゲンロートの無名峰。
どんどん行きます。気温が下がってくれているおかげでアイゼンが利きます。
慌てて登らなければこんなにいい山だったとは…。GWに目指すべき山でしたね、天塩岳。まあ、2011年の7月頃だと、まだそんなに根性入ってないかね。
昨日は強風がキツかった山頂付近も、ちょっと風がある程度です。景色をゆっくり眺められます。
天塩岳、改めて登頂。いちおう2回目です。1回目のは本当に情けない登山でしたな…
山頂で5分ほど立ち止まって直ぐに出発です。今日は長丁場ですから。でも、案外15時くらいには降り立ててたり。足も軽いし。
ふうたろう、記憶を辿っても辿りきれないのですが、この滝上町側の指導標、3年前もあったのでしょうか。きっとあったのでしょうね…
ふうたろうは前天塩に向かいます。予定通りの縦走をこなそうと思います。
尾根から雪庇が見えなかったので雪のない夏道をそのまま歩きます。
でも、途中から歩きやすそーな雪庇が出てきたので水平移動(黒笑
ずっと上まで続いていたのですね。これなら上から歩いてきても良かった。一部ウボァー(゚Д゚)していたかもしれないけど。
ここから国道に下っていれば、タクシーで帰るのはたやすい。でも、まだやってもないのに諦めたらもったいないですねえ、縦走。
前天塩の上りはきついです。夏道を通ってもいいのですが、そのまま前天塩の山頂に行ってしまうので、ここはあえて雪の上を歩きます。そうすれば自然と東尾根の方に流れていくはずですし。
一部ヤブや岩などが被っている場所があって難しいですが、まあ、なんとかなります。
前天塩の分岐はもう少し。まあ、ふつうの人は「分岐」と見なさないだろうけど(黒笑
ここ、尾根沿いにまっすぐ進むことができません。ヤブの上に岩場があって、岩場を巻かないと行けないからです。ハイマツが下向きに突きだしているのでトラバースは金網をくぐり抜けながら進むようなもの。
こういう岩のところ、25kgのザック担いで下りるのはつらすぎます。しょうがないので巻いています。
雪が出てきたらそこを歩く。でも、ほどほどにしておかないとまたヤブで難儀しますから、雪の端っこまでは行かないで、尾根の反対側に移ることも考えます。
北西斜面にも雪が残っています。これならうまく歩けますね。ここがどこかの会津朝日岳とはクオリティが違いますね(じと目
クレバスがあります。ああいう雪の上はできれば歩きたくないですな。
天塩岳が右奥に。この角度から見る天塩岳の図はけっこうレアだと思います。
ヤヴで大変なところは雪の上を歩いて回避。これが雪山の最大の利点です。
ここは南斜面にたっぷり雪が残っているのでおおっぴらに歩かせてもらいます。
しかし、上の写真奥を見ればやっぱり雪が途切れているので、ほどほどにしといて北面に入ります。
樹林帯の積雪は踏み抜きやすいですが、まだ大丈夫。今朝も気温はちゃんと下がったし昨日も低かったので、雪は締まっています。
遠くから見ていてどうなのかな、という岩ピークの手前まで来ました。標高は1380mあまり。
でも、意外にも東面に雪が着いています。
この風景の中にはふうたろうの知らない山がいっぱいです。そのうち、生きていれば登れるでしょう。
ちょっとさっきの岩場の雪は斜度がきつくて一抹の不安を覚えましたが、通り抜けました。北側の斜面は緩いですが若干遠回りでしたので、短縮できたし、いい展望も拝めましたね。
さあ、次はあの1450mピークです。あれも東から見た限りでは雪ハゲヤヴ漕ぎゾーンかと思っていましたが、ちゃんと雪が着いています。今日は体力に余裕があるので、折角なので、登っていこうか。
天塩岳登山史上、この角度から前天塩岳を見た人は何人いるんだろう。正直そんなにいない気がします。
多少のアップダウンは何のその。昨日は強制的に停滞させられたので体力があります。
1450mピークから南の展望です。右奥のは天塩岳の双耳峰。奥に霞んで見えるふたつの峰は、北大雪(左)と大雪山(右)です。
ヤヴの中を少しだけウボァー(゚Д゚)してから北上します。辿る尾根だけは決して間違えてはなりません。谷底にヅドンします。
まあ、こんなところ歩く人でまともに地図を見ない人はいませんよね。ふうたろうは地図を見るのが好きなので、地図一枚あれば、そこに足場がある限りどこでも行けます。
ウボァー(゚Д゚)
シャクナゲほどじゃないけど、ハイマツのヤヴもけっこうシビアです。
そして、1450mピークを過ぎると天塩岳までのようななだらかで広い尾根が再び戻ってきます。切り立った場所はなくなりますが、ガスったら迷いやすいところが多発するということです。
あまり端っこに寄る勇気はありませんが、いい展望ですね。それに、雪山歩いているというハッタリ感が何とも(黒笑
右奥に渚滑岳が見えています。見えているそこの尾根をまっすぐ進めばいいのでしょうか?
いえいえ、ふうたろうが進むべきはそちらではなく、この雪の大平原です。
紫の太いラインが迷い尾根で、赤い矢印が進むべきルートです。でも、目が慣れると案外判るものです。
詳しくはこちらを。容量が大きいので注意。ホイールで拡大・縮小します。
これからもピークはカットしていきます。なだらかなピークでそれほど高低差はありませんが、塵も積もれば何とやら、ですから。
1450mピーク(左)と前天塩岳(右)です。がんばりましたね。ここで9時です。出発から5時間。痩せ尾根で時間がかかったからこんなものでしょう。
真正面にまた広いピークがあります。あれは越えるべきでしょうか?
進行方向右手に常に見える渚滑岳。一直線で進めばそれほどの距離ではないのですが、ここ、尾根上をかなり大回りさせられます。コースを決めるときもかなり悩みました(地図参照)。
とりあえず、谷底まで下りると登るのが大変なので、左方向の尾根を進みます。適当に巻きながら。
1307mの広いピークは南側すれすれを、西側の鞍部に合わせるようにトラバースします。このピークに登ってもそれほどの御利益はありません、というか、登っている時間がありません。今夜から雨ですからね…でなけりゃ、こんなに急ぎ足にはなりませんから。
巻くとすればこんな感じですか。
トラバースと言ってもトラバースを感じないくらいの緩い坂です。
ちょっと傾きのキツいところをトラバース。地図を見れば等高線の間隔で場所を判断できるはずです。
1450mピークと前天塩岳。尾根が西へ東へ蛇行するので、見かけよりもずっと長く歩いています。
今は枯れ木ですが、これが新緑になったらどれだけきれいですかね…。でも、新緑になる頃にはここは歩ける状態ではないでしょう。遠くからしか見ることのない幻の風景なのでしょうね。
1217mの鞍部です。本当は1307mピークから下ってくるだけでけっこうな景色を拝めると思いますが、ふうたろうの根性はそこまで行きませんでした。
そしてさらに北上。この1217m鞍部から北斜面は広いゲレンデになっていて展望が恐ろしく良いのです。
尾根をまっすぐ進みます。ただし、ほどほどにトラバースしながら。
…特に変わったところはありませんでした。でも、何らかの作業用路が入り込んでいるかもしれませんね。
東に渚滑岳。そろそろ渚滑岳に取りかかりたい。でも、尾根をまともに回るとまだまだ先になります…
こう振り返ると、あのオープンゲレンデを下ってきた場所は鞍部というほどはっきりくびれてはいません。逆コースだと迷うかもしれませんね。
ちょっと判りにくいですが、絹層雲の暈のずっと下の方に彩雲が見えます。
空を覆っていた絹層雲の量が減ってきました。天気は大体一気に崩れることはなく、薄雲が出てきてやばいかな、と思ったらもう1・2度、晴れます。もちろん、寒気が入り込んできたときの天気の急変は別ですけども。
さて、今回コースをどうするか悩んでいたところが迫っています。
向こう側の尾根は渚滑岳に繋がる尾根です。この谷を横断すれば数キロ分短縮できます。しかし、沢の音がしますね…(じと目
ま、いざとなったら沢突撃しますか。源流に近い場所ですから水量もバカみたいに多いということはないでしょうし。
正解!スノーブリッジもあるし、うまくいきそうです。会津朝日岳の時の経験が何となく生きているような気がします。
こうして、遠回りが回避できることもあるのですね。もちろん、どこの谷でもできることではありませんが。
ちょうど支流が2本ぶつかるあたりでスノーブリッジを渡り、渚滑岳の尾根に取りかかります。かなり得をしましたね!下った標高は100m程度なので、数キロ分の短縮になるなら十分でしょう。
さて、ここから数キロに亘って長い長い登り坂になります。渚滑岳までの緩く長い登り坂です。
しかし、さっきから薄雲の防護がなくなったので暑さが凄まじい。たまに頭を残雪に差し込みながらECCSを働かせておかないとまじヤヴァイ。
ふうたろうが回避した1276.4mピークです。まだあちらの標高の方が高そうですね?
同じ角度の登り坂が続きます。いくらいい景色だとはいっても同じものばかりだとさすがにハラがいっぱいに…
尾根の南側からは大きくトラバースした1307mピーク、展望の良かった1450mピーク、前天塩岳が見えています。そして、次はもう晴れないと思わせる上層雲と中層雲が迫ってきています。
しかし、ピークを探す心とは裏腹に、体力だけはどんどん堕ちてゆく。
それも仕方ない。8時間以上ほぼぶっ通しで歩いていますから。
ピークはあのヤブの中でしょうか。とりあえず、もう探している体力と時間がない。しかもこのあたりの踏み抜きはひどすぎます。
渚滑岳をずっと見て歩いた尾根が向こうに見えています。長かったね…
遂にこのバヤリースオレンジを開けるときが来ました。3月15日に苺のビニルハウス撤去作業のボランティアをやったときにもらったジュースがまだ残っていたのです。
滝上町の田園風景が見えてきました。でも、まだかなり遠いです…よね?
13時を過ぎています。9時間ぶっ通しで歩いてきて渚滑岳。でも、渚滑岳でゴールではありません。まだ今まで歩いてきた距離の3分の1か半分くらいは残っています。
気持ちが焦ってくると体力の消耗は激しくなります。最終バスに間に合わない…!っていうか、何時か判らないし。
どの林道へ下りるか、どの尾根を使って林道に下りるか、考えた結果、熊出沢林道を選びました。なので、渚滑岳から北上して1125m鞍部に至ったら、1159mピークの南東をトラバースしていくことになります。
尾根をずっと進むと1071m地点に至ります。そこから見る滝上町の畑地の風景がきれいなんですね…
でも、そんなに落ち着いて休んでいる時間も無く、北東方向に伸びる突然の痩せ尾根を下っていきます。
…が!?
ウボァー(゚Д゚)
まさかの雪ハゲヤヴ漕ぎゾーン。ふうたろうの体力と精神力にとどめを刺すヤヴ漕ぎゾーンです(没
このように雪があるところはまだしも、さっきのようなヤヴのところがほとんど。急坂とヤヴと崖とところによっては踏み抜きの雪。世界で最もヤヴァイコースです(滅滅滅
体力が減りすぎた上、林道とかでビバークなんてまじシャレにならないので、かなり焦っています。その焦りで具合が悪く(滅滅滅
あまりにも吐き気がするのでカメラをザックにしまってしばらく歩きます。ベルトが腹部を押さえるとキツいのです。
かなりの急斜面を無理やり突っ込んだ感があるけど、林道到達。でも、木の生え方からして相当昔に廃道化しているよね。
ふうたろうは精根尽き果てようとしていますが、ここまで来たらバス停までがんばるしかない。それに、今日帰れなければ雨にぶちのめされる。さらに細かいことだけど、コインロッカーに入れておける期限は今日までなので今日中に旭川に取りに行きたいし。
雪がないところは若干歩きやすい気がする。本当に「気がする」レベル。
林道の雪道は疲れます。それでなくてもヅボッなのに。
っていうか、あの立て札、立入禁止じゃね?
ふぅ、違ったらしい。
こんなところから人が湧いて来ることは想定してないからね、人間界では(黒笑
もっとも、ふうたろうが人かどうかはアヤシいが(黒笑
あの雪が盛られた場所はきっと除雪区間の終点(つまり向こう側が除雪区間)ではないですかな?
そうです。ここから先、雪のない道を楽に歩ける赤絨毯ゾーンです。
右足のアキレス腱の部分が痛い。靱帯(アキレス腱も靱帯)伸びた?荷物も重いし、まったくスピードが出ません。でも、国道が見えてきた…
国道273号線に出ました。17時半過ぎましたがな。長かった…(没
たぶんこの辺にバス停があるはず…あ、今にも朽ち果てそうなバスがあるある大事典(何
17時43分、バス停到着。最終バスは何時かな…
19時2分札幌行き(臨時便)2月1~28日
その前は…17時22分。
ふうたろうはしんでしまった。
目の前に雑貨屋さんがあったのが見えたでしょうか。滝上町のタクシー屋さんを呼んでもらい、上川駅まで行きます。それしかこの地域から無事に下山する方法はありません。バス停でビバークとかまじシャレになりませんので。
タクシー代は12640円。それでもけっこう無理して行ってもらっているのですが、12000円にオマケしてくれました。最初は10000円でいいとかすごすぎること言われて、さすがにそれは気が咎めるので「はいそうですか」とは言えなかった…。
旭川に戻ってホテルに入り、近くの旭川ラーメン屋で少し食べて戻ってきたら21時。疲れすぎてまた気分が悪く、悲惨を極めました。結局13時間半ぶっ通しで歩きましたからね。距離にして26km。総距離43.5km。鬼畜でした。
#143天塩岳2回目クリア。できればこれを本当のクリアにしたいね。精根尽き果てるまで歩けるなんて、本当は最高に贅沢なことですから。
天気:くもり時々晴れ、夜遅く一時雨(北海道上川郡朝日町・上川町・紋別郡滝上町・旭川市)