恐るべし!食中毒(水晶岳・赤牛岳【読売新道コース】:富山県)
6年前にもあったこの札。あの時と変わってない。
昨日の夜(夕方)のうちにおにぎりを準備していたふうたろうたちは、それを食べて出発です。今日は長丁場になりそうですから。
昨日の夜というか、未明に一度外に出てみましたが、きれいな星空でした。今日はたしかに曇か雨と言っていましたが、予報は大きく外れたようです。
そしてまもなく、8月16日の夜明け。まさか、あの悪天候予報からこうなるとは‥昨日小屋に泊まる手続きをした時にスタッフの人に天気を聞いたら、「よくはないですね。コースの変更をお願いします。」とまで言われたのです。
昨日雨が降ったので、槍ヶ岳の方まで輪郭もはっきりと見えています。雨=否定的意味合いではないですな。
ゆっくりですが、無事に着くことが目的です。それに、急ぎすぎて楽しむ余裕を失っても、ね。
安曇野の方は雲海の下ですか。そりゃ、曇の予報ですな‥。天気予報はあくまでも下界の予報であることを頭に入れておかないと、ね。
2枚上の写真から7分ほど経った写真ですが、日当たりの具合が既に変わっています。この時間帯の山の風景は1秒1秒が大切です。
数少ない雪渓の残存箇所。これが今も少しずつ溶け出して、沢水を絶やさぬように冬を待っているのかもしれません。
水晶岳から赤牛岳の尾根歩きは、なかなかのアップダウンがあります。もちろん、室堂~スゴ乗越までのエゲツナさに比べればハナクソですが。
恐ろしいほどの好天。昨日も含めてこの7日間、日の照らぬ日はなかった。
温泉沢の頭。ここから温泉沢コースを下ると、あの高天原温泉に行き着きます。まだこのルートを使ったことはありませんけどね。
前も思っていたのですが、この尾根は、歩いても歩いても、ゴールが近づいてこないのです。なかなか大変ですよ、ここは。
周辺の山にガスがかかってきたな、と思ったら、この辺りまでガスの雲が来るのもあっという間でした。夕方からは崩れるとの予報もあったようで、強ち嘘とは思えない。
そう言っているうちに赤牛岳も雲に食べられそうになっていました。
それでもふうたろうたちはゆっくりマイペース。山ですもの、ゆっくりしていってね!
赤牛岳到着。日本200名山でもけっこう奥まっている場所で、来るのが大変な場所らしいです。しかし、300名山撃破劇では、前半戦で撃破したものです。
これから明日にかけて、あの黒部湖に向かって下っていくのです。
では、読売新道の下りです。ここは長く険しいことで有名らしいですが、6年前のふうたろうは、奥黒部ヒュッテから5時間1分で赤牛岳まで上っています。もちろん100リットルのザックに荷物詰めて25kgくらいにはなっています。下りのコースタイムで5時間ですから、きっと3~4時間で終わるんじゃないですかね(フラグ
しかし、下りなのにガレ場の上り返しとかあったりする件について。
こういうポコポコがあった記憶は、上りの時には感じなかったせいか、ありません。そんなにきつかった覚え、ないんですけどね。
7/8の標がありました。これを0にまでしてやっと奥黒部ヒュッテです。
たとえ鼻が乾いても奥黒部ヒュッテに行かないと、とどまれる場所はないぞ。
6/8。東沢出合というのは、ほぼ奥黒部ヒュッテの場所と同じです。
読売新道の真の厳しさは樹林帯にあり。木の根っこがむき出しになって段差と滑りやすさがコンボでついてきます。いや、ここはもう1/8付近ですが、こんなにキツかったとは。
ヒュッテに着いた頃には抜け殻状態。ここは下りよりも上りの方が楽なのではないのか?(じと目
さて、テン場にテントを張って夜飯なんですが‥おにぎりを作った米が余っているので、それで雑炊にしたのですが‥
二人仲良く、消化器症状発生。彼女は経験のない吐き気に襲われ、5回以上吐いたと言っておりました。ふうたろうも吐き気をもよおしました。多分、吐き気どめ無かったら、下から出る代わりに上から‥嘔吐恐怖症のふうたろうにとってはトラウマでしかないです(涙目
おそらく、飯盒の底についていた汚れ(御飯の残り)にバクテリアが湧き、その中に何らかの食中毒菌が紛れ込んでいたのでしょう。吐き気などに苦しみながら考えたのは、黄色ブドウ球菌(のエンテロトキシン)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、セレウス菌(Bacillus cereus)。セレウス菌についてはその生態は知りませんでしたが、芽胞を作る性質があるのはウェルシュ菌と同様のようです。
黄色ブドウ球菌は菌そのものは熱に弱いのですが、毒素(エンテロトキシン)は熱に強めです。ウェルシュ菌やセレウス菌は芽胞を作るとその芽胞自体は熱に強いので生き残ります。
実は一昨日その汚れが気になっていたので、水を入れて煮沸して、少しでも落としておきました。加熱による殺菌も考慮して。その上、その汚染状態のものに米を触れさせないよう、ジップロックに米を入れて、外側の水との接触を避けて炊飯しました。
ところが、袋の底が飯盒の底に触れて、熱で穴が開いていました。おにぎりは、飯盒の底に触れていない部分の、上の方の米を使ったので、朝や行動中には症状が出なかったのでしょう。しかし、夕方食べたのはその汚染水がジャストミートしている箇所でした。
ブドウ球菌は熱に弱く、おそらく一昨日の煮沸で全滅しているでしょう。熱に強いエンテロトキシンも、煮沸した水を捨てているので、濃度は薄めになっているはずです。
ウェルシュ菌の線ですが、結果的にはないでしょう。潜伏期間が6時間以上と長く、症状も下痢などが主だそうです。
最後のセレウス菌ですが、この線が濃厚です。食品中で毒素を作り、潜伏期間は30分~6時間。ちょうど食べてから1時間程度で症状が出てきました。もはや、芽胞が一日で繁殖し、毒素を作ったと考えるのが自然でしょう。
→セレウス菌(Bacillus cereus)(東京都福祉保健局のページ)
直射日光でザックもかなり加熱されて、バクテリア類の繁殖にも好条件でした。飯盒を洗えないのは、それでもどうしようもない‥
アホほど長くなりましたが、その短い潜伏期間に沢に出て所要を済ませつつ、和んでいました。
おおふうたろうよ しょくちゅうどくでタヒんでしまうとはなさけない
いや、ここでの食中毒は本当に危険です。翌朝に快復していればいいのですが。
なお、明日の予報ははっきりと雨です。体調が回復していなければ、そこに雨が降るわけで、まさに泣きっ面に蜂でしょう(滅滅滅
UC:2
FD:1(病状発生時を除く)
天気:晴れのちくもり(富山県上新川郡大山町)