弱肉強食
今日はお客さんが職場にたくさん来た割に、サンプルからの農薬抽出作業がさっさと終わってしまいました。中途半端に暇をもてあましたので、仕事を探していると、行き場を失った玄米発見。
その結果、この図。米につく蛾ですが、いつか分析に悪さをこくかもしれません。農薬分析する場なので、シペルメトリンだとかフェニトロチオンだとか、農薬は使えません。さて、どうするか。
この分析をしたり、農家の話を聞いたり、本を読んだりしてつくづく思うのですが、化学的に殺す(シペルメトリンもフェニトロチオンも神経毒)のはやっぱり非効率的だなぁと思います。やっぱり漢(オトコ)は物理攻撃!!(何のこっちゃ)
で、精米器登場。…まるで仕掛けられたように。
タチの悪いことに、コクゾウムシまで居やがりました。このように物理攻撃に耐え抜く奴もいますが、発見次第、指で圧殺。広がるとえらいことになるので、ごめんね。
黒米もやっぱり蛾の培地になっています。当然、物理的処理。蛾の幼虫、繭、成虫の死骸などは木っ端微塵になります。そして、糠と一緒に廃棄されます。黒米の精米なんて普通はしないよね。どうなると思う??
黒米を精米すると、中は意外にも白い米。でも、やや黒い色素が中に浸透していますね。
余談ですが、この黒は、本当に「黒」ではなく、紫色のポリフェノールの色です。あまりにも濃度が高いので、透過度が低く、黒く見えるのです。
普通のうるち米の五分づき、黒米の五分づき、赤米の五分づきを並べました。普通のうるち米がより黄色く、黒米がより黒く、赤米がより赤く見えます。きれいですね。ただし、これが炊いて上手いかどうかは別ですがね。
虫の成分を含んだ糠。他に、フンなども含まれます。でも、糠もここまでコントラストのある色合いだとは、正直驚き。
…僕らは、このような虫たちに対して、「ジャマだ!」とか思ったりします。昔は今日僕がやったような方法とはまったく違う、本当の意味での物理的駆除が行われたと聞きます。田んぼに油を注いで稲穂を叩き、ウンカやヨコバイなどの害虫を溺死させるというのを聞いたなぁ。僕も農家でも何でもないので、これ以外の話は知らない。けど、唐辛子を入れるとか工夫されてきた。
今は有機合成化学の賜物で、簡単にこれらの虫を殺してしまうことができます。あるいは遺伝子組換え作物という形で、殺虫毒素を植物に作らせることさえも。そして、結果、虫は殺せたかもしれない。
でも、それでいいのか?自然界に与える影響はどうなる?無尽蔵にある農作物に対して、無尽蔵に存在するいわゆる「害」虫。虫もDNAを持った生物だよ。進化する。そしたら、殺虫剤も効きにくくなって、また新しい農薬を…。そうして化学物質種も増えてゆく。純粋に、それでいいと思う?
実害は出てからでは遅い。そして、昔は僕も無関心だったけど、自然に対する倫理観も持ってしかるべきだと思う。競争するばかりでなく、拒絶するばかりでなく、共存する方法を考えていきたいよね。社会でも「自己責任」の名の下でまかり通っている弱肉強食の考え方は、未来永劫の真理ではないと思う。
まあ、いい。とにかく、米はありがたくいただきます。冷蔵管理していれば虫も防げるし、脂質の過酸化もある程度遅くなるはず。無駄にしないよ。
天気:晴れのちくもり(東京都板橋区・茨城県取手市)