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正のフィードバック

2008年 3月 5日

 「正のフィードバック」という言葉が、生物学の世界で、あります。
 ふつう、フィードバックというと、進みすぎたものを抑制するようなイメージです。しかし、正のフィードバックは、その逆、更に進めることです。
 ヘモグロビンは、その一例です。1分子のヘモグロビンは4分子の酸素を抱きかかえられますが、0分子から1分子よりも、3分子から4分子の方が酸素を抱きかかえやすい性質があります。これは、山登りのときにも、とても重要な機構だそうです。

 今日は、夕方から、突然、ビキニデーの報告をやってくれとの報せがあったので、N民連本部で、例の飲み会の中で、発表でした。あの二日間を、いきなり発表せよといわれて、頭が真っ白で、結局まとまりもなく終わってしまいました。得られた知識はほんのわずかですし、交流の中身を語ってもしょうがないし。
 しかし、今日の飲み会は、いつもの疲れる会とは違いました。
 ビキニ環礁の核実験と第五福竜丸の被爆の話は、本部にいる、僕より遙かに年が上の人たちにとっては、現在のことなんだそうです。だから、僕の「初めてこういう事実を知りました」などという発言には驚きと「責任感」を感じたそうです。その責任感とは、「自分たちがそれほどまでに伝えてこなかったこと」だそうです。いや、正確には違います。経験者と未経験者の間にある、記憶回路の違いを捉えられず、伝えられなかったのです。
 思い起こせば、アメリカ言いなり、安保闘争、WTO、靖国史観などという言葉だって、経験してきた人には日常語であっても、そうでない人にとっては、「過去」「専門用語」なのです。
 僕とWさんが2人とも初めてのビキニデー参加だったので、この世代間ギャップを、全員に気づかせることになったのです。これは、大きいことですよ。ビキニデーでも、原水爆禁止世界大会でも、被爆の記憶を、継承・発展させなければ、歴史から無くなるのです。その課題に気が付いた、発表会でした。意外な結果です。
 そのあと、分析センターの話にもなりました。本部の人たちが出掛けた先では、しばしば分析センターの話題が上がるそうです。また、国際的な交流の場では、「分析センターを、世界の分析センターにしてくれないか」といわれたこともあるそうです。
 …でも、実は、これはずっと前から知っていたことでした。僕は、それを知っていてもなお、そこで働く意味を感じられず、4年弱を過ごしてきたのです。
 それを、改めてハッとさせたのは、前にも書いたとおり、ギョウザ事件。最初は見向きもされなかった施設だったのに、冷凍ほうれん草や漢方薬、ベビーフードなどの残留農薬問題で、法改正に至るほどの成果を上げた。ギョウザ事件のときにもテレビ局や新聞社、雑誌社などから頼られる存在となった。そして、ギョウザ事件のときは、農薬抽出の爆心地で作業していたのが僕でした。何かが弾けた瞬間でした。
 今、僕は、もっと出来ることがあるはずだ、と、気持ちが弾んでいます。その一つが分析項目数を増やすこと。そうすれば、調査だってよりしやすくなる。

 …あれ以来、僕の体調は非常に安定しています。気分も高揚して、班会やビキニデーの成功、スキーツアーは、アドレナリンが枯れるほどハッスルしました。青年部総会も悶着がありつつも繋がりが出来ました。本を読むスピードと理解力も大幅に上がりました。好奇心が旺盛になりました。人を見る目が少し変わりました。
 本部のYさん、「外に出ないと、ずっとこもってしまうよ。」
 …その通りです。酸素を取り入れましょう。肺いっぱいに新鮮な空気を吸いましょう。そうすれば、より身体は活発になります。
 最初の一歩が参加する意欲を生み、それが増大してゆく姿は、まさにこのヘモグロビンの如し。この数週間の、量と質の変化は、確かに最初の一歩が鍵でした。
 これが、今日の題名、「正のフィードバック」。酸素分子0個から1個、ヘモグロビンに付けるのは難しい。今は3個から4個に付けるところと外すところを往復している感じです。ヘモグロビンも真っ赤に輝いています。体力さえあれば、大丈夫。
 今日は、初めて本部での飲み会で、元気になりました。本当にこの間のフィードバックは、大きい。

天気:くもりのち晴れ(東京都豊島区・板橋区・埼玉県所沢市)

※出典は『カラー生化学』西村書店、169ページ

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