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北国は厳しいところだ(棒読み)

2011年 12月 23日

 北斗星号での目覚め。どうも、遅い、冬の北海道の日の出くらいに合わせて起きたらしい。リウマチがあるというおばちゃんと席を交替して、ふうたろうは上に来ていたのですが、ふうたろうがカーテンを開けると、おばちゃんもちょうど起きてきたようです。さあ、うがいでもしにいこう。
 朝ご飯は、昨日あまりにバタバタしていて買いそびれたのですが、電車の中の食事はぼったくり級に高いので、長万部到着の8時半まで我慢しましょうか。函館に朝早く降りていった立川(?)のおっちゃんを除いて、ふうたろうの下の席にいた若い女性も含めて喋っていたので、朝のさわやかな時間があっという間に過ぎ去っていくのでした。


 長万部に到着。雪が降りしきっていて、スリッパのふうたろうには、しかもスリッパは網掛なので隙間から雪が入ってくる。歩きにくい。電車は程なくして発車し、一緒に長万部で降りた若い女性は、駅前まで彼氏が来ていると、ずっとさっきからるんるん気分でした。今日からこちらに住むのだそうで。どうやら、ふうたろうも負けてはいられないらしい、というのは、ふうたろうの中から出てきた言葉ではありませんが、客観的にはそうなのかな?
 しかし、そんな穏やかな朝が、この一瞬で急変する!


 どうやら、ふうたろうは北斗星の中に財布を置いてきてしまったらしい。席を交替したとき、財布やその他の持ち物をそのままベッドの上にぶん投げてしまったので、色んなものが掛け布団の下に埋もれてしまったのです。いちおうめくって忘れ物がないかは見ていたのですが、よもや財布を忘れていようなど、思いもしなかったのです。
 …これはまずいぞ!
 北斗星が洞爺駅を過ぎる前に駅員に話をしたかったが、何故か今日に限ってこの駅は猛烈に込んでいます。2人待つのが、どれだけ長く感じたことか。
 とりあえず、忘れ物は全部札幌まで強制的に送り届けられてしまうので、ふうたろうも札幌まで向かうことにします。無一文のふうたろうの行動を辛うじて支えたのは、忘れずに済んでいた携帯電話ひとつ。今夜から泊まりにいく友人のやっている宿に電話して、いつ着くか解らないと伝えておきます。
 ふうたろうの、嵐のような旅が、遂に始まります。


 北斗星が着いてから1時間14分後、時刻通りであればそれが特急列車の発車時刻ですが、客の乗り降りなのか、吹雪の影響なのか、若干遅れ気味です。しかし、すぐにそれは前者だということが、解ります。洞爺を過ぎて、伊達紋別…と進んでいくと、通路にも人が溢れかえっていきます。何かがあるのか、それとも、みんなこの3連休を北海道で過ごそうとしているのか?…しかし、みんな道内の人だろう?


 慌てても仕方ない、と、何度自分に言い聞かせただろう。しかし、気持ちは焦るばかり。
 いや、この際現金などが無くなるのは仕方がない。でも、カードを失った際の再発行の手間に始まり、お金を引き出すのに必要なキャッシュカードやクレジットカード、それに乗車券などが全部入っています。これを失ったら、東京に帰ることさえも困難になり、予定している九州の旅は、北海道にいる段階で全滅確定という、史上最悪の事態になります。
 藁にも縋る思いで札幌駅の遺失物届けの窓口に向かったのですが、よりにもよって、見つかったのは、忘れていることにさえ気が付かなかった名刺入れひとつ。ああ、今朝、おばちゃんの隣に移動して、今朝から話に合流したあの若い女性に名刺を渡したときだから、ふうたろうが元いた席にあったやつだ…。交替した方の席は探してないんだろうか…。
 自分で探しに行けば一瞬で見つかることも解っていた。でも、それが不可能な上に、探す人が万一鈍感で見つけきれなかったらどうしようという、強い不安がふうたろうを襲います。ふうたろう、ここで果てるのかと、あの神威岳で滝を何回も落ちたときよりも強く、思いました。しかも、いつまで待てばいいとも解らないので、時間は永遠とも言えるほど長い。


 しかし、今夜の北斗星出発がだいたい17時であることを思い出し、それならばふうたろうが乗ってきた車両の出発は概ねその時刻より前であると、理論的に思い出します。それを駅員と遺失物の窓口の兄ちゃんに確認しにいったときのこと、なんと!「財布がありました」のこと!!安堵の涙さえこぼれ落ちそうになりました。
 これから2~3時間待つことになりそうですが、何個か小樽よりの手稲駅で受け取れるそうです。朝から水コップ一杯ほどしか腹の中に入れてないので、どうにも頭がくらくらでしたが、ザックの天蓋に入っていた山形のミルクケーキ最後の1枚を食べ、エンゲルスの『自然の弁証法』を読んでいました。


 本当に喜ぶのはまだ早いのですが、どうやら先が見えたようです。手稲駅に着いた16時前から程なくして、呼び出しがかかって、無事、財布を回収。迷惑をかけまくった駅員たちに礼をして、ようやく目的地である比羅夫に向かうことになりました。しかし、バスがないとかいうことで、倶知安で降りて、宿の主人Kさんが迎えに来てくれることに、急遽あいなります。


 倶知安では大量の外国人が降りていきます。中国やオーストラリア?韓国もいましたか。2010年5月に来たときには考えられない光景です。思えば、ここはNHKのクローズアップ現代でも取り上げられましたね、サクセスストーリーとして。


 猛烈な雪の中、Kさんの車で、今夜の宿、『仁里木舎』に到着。あの雑踏と不安を乗り越えてきたあとのここには、ある種の下山後の気分に似たような感覚がありました。


 お茶でも飲んで、ゆっくり、ですか…。


 近くのコンビニ(それくらいしか開いていない)に行って、飲み物を買ってきますか。
 …強い雪が降り続いています。


 一時はどうなることかと思いました。ひとまず、最大の危機は切り抜けましたが、この先はどうなるのやら。


天気:晴れ時々雪、後志地方では強風を伴い強く降る(北海道石狩支庁札幌市・後志地方虻田郡倶知安町など、移動中しか含まない)

  1. 12月 27th, 2011 at 12:30 | #1

    こんにちは!あの日は席を移動して下さって本当に助かりましが、大変な事になっていたのですね。空腹で下車し、お財布が無いことに気が付き、どんなに驚かれた事でしょう・・・。でも、見つかって本当に良かった。お疲れさまでした。また時間をとって北海道に来て下さい。ところで無事に帰省できたのかな?

  2. ふうたろう
    12月 27th, 2011 at 12:52 | #2

     どうもこんにちは。あの時はとても楽しいひとときでした。あの電車を降りるまで、は…!
     降りたあと、無一文なので何も買えず、いつまで待てばいいのか、待っても見つかるのか、絶望の淵に立たされました。おばちゃんの電話番号くらい聞いといたら、ひょっとしたら探してもらって札幌駅に首尾良く届けてもらえたのに、なんて思っていましたが、まさかあんな事態になるとは思ってもいませんでしたから…。
     ふうたろう、財布だの登山靴だの、忘れ物があまりにも多くて困っています。注意欠陥障害の類なのでは、と思うほどに(涙

     帰省、東京へは無事に帰れましたが、風邪がなかなか辛い状況になっています。明日までにはなんとか治さねば、仕事も旅もとんでもないことになります。これもあれも、厳しすぎる試練でございます(号泣

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