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熱力学の罠(滅)(草津白砂山【八間山~野反湖コース】:群馬県)

2013年 11月 17日

 夜中、寝付けませんでした。特段体調が悪いわけではなかったのですが、逆にそれゆえ、余計な考え事をしてしまいまして。たとえば、なぜガスコンロのガス缶に被せるカバーなんてものがあるんだろう、奪われた気化熱を外気から取り込まないとだめなはずなのに…と考えていたら、ブタンガス5gが気化したときには実際何度温度が下がるんだろうとか悩み始めてしまいまして。暗算もできないくせに(数学で30点くらい計算間違いで落としたことがある)数式(大した数式ではない)を頭の中に並べたので、そりゃあもう…。
 というわけで、2時半とかにハラが減って朝飯にしましたがな(滅滅滅


 そしたら、いつの間にか眠っていて、しかも2度寝して最終的に起きたら6時回ってましたがな。
 ヌオッ(゚皿゚;)
 夜明け前やないか!


 大慌てで撤収。メシを準備する必要がないので30~40分で大方けりが付きましたが、日の出は6時半前ですから、間に合うはずもないと。日の出前には出発したかったのに…


 草津の山のみなさんおはようございます(歯ぎしり


 出発は6時51分。熱力学の呪いにやられました(滅滅滅


 さて、八間山から白砂山へまずは向かいます。この八間山へはルートが2本あります。これは白砂山側から指導標を見ていて、右(北西)方向へ進むと下山します。


 ふうたろうは写真右端にある相棒片手に、わかんとアイゼンを装備して白砂山を目指します。今日の最終目的地は切明温泉。いや、家か。


 しっかり雪が積もっています。昨日から八間山まで付いていたの足跡はもはやなく、動物先生の指導のみとなっています。


 非常に歩きづらいですが、きれいなものですね…


 雪山の朝。幸せです。


 しかし、アップダウンが既にきついです(滅


 ふうたろうも動物たちに混じって、足跡を付けています。


 あの彼方に見える山が白砂山。遠いですなー(遠い目


 南東を向くと、朝日に霞んだ榛名山が見えます。


 写真に足を止めますが、足を止めないと疲れて動けないと思います。


 しかし、今日は数日前の天気予報では雨になっていたのに、偏西風の吹く場所が変わったのか、低気圧の接近が微妙に遅れてくれて、昨日の晴れが続いています。奇跡ですな。


 雪をよく見てみると、やっぱりまだ真冬という感じはしません。真冬だとこういう山域ではシュカブラが美しいですから。


 初冬の東草津。ふうたろうの山行に端境はありませんよ。


 1895mピークの黒渋ノ頭。白砂山はまだ遙か先です。


 黒渋ノ頭から、この山のアップダウン地獄が本領発揮し始めます。まずは下り(滅


 下り道からは白砂山の全貌が(じと目


 でも、笹原の上に積もった生クリームのような雪が美しい。


 本当に、雲一つないど快晴。あの谷川岳の山行から、天気には恵まれていますね。


 しかし、このアップダウンに言葉を失っているふうたろう、写真を撮る余裕も無いようです。黒渋ノ頭より急降下して小さいピーク一つ越え、そして再び1.5倍の急上昇ですから(満身創痍


 山の様相は残雪期でも積雪期でもない、ふしぎな雪景色。これが初冬なんですね(ガラガラ声


 雪の白に空の青、そして、樹林の黒です。


 中央の八間山から左の黒渋ノ頭、大きく下って再びここまで登ってきました。あー疲れた(ため息


 中尾根ノ頭、だそうです。1944m。八間山よりも標高は高いです。


 いよいよ白砂山が見えてきましたが、どうもアングルが優れない。白砂山を真正面から捉えたければ、道なし雪ヤヴゾーンを進まないとだめかも知れませんね。


 動物先生たちは体重が軽いのでそんなに沈まずにいけるかもしれませんが、ふうたろうは50kg弱の体重に20kg前後の荷物がくっついているので、余裕で沈みます(撃沈


 ふうたろうの要求はただ一つ、「時間が欲しい」。


 後ろ振り返っています。もうこちらには戻りませんから。


 堂岩山への上りが始まります。


 雪がなければ何てことのない坂ですが、この撃沈雪ではキツいものがあります。


 (分岐は)まだかー!


 白砂山、ここまで来てもまだ遠い…(うつろな目


 動物先生の足跡もありません。撃沈雪がチョー辛い。


 やっとこさ堂岩山と白砂山、八間山の三つ辻です。ここで9時41分。うすうすは感ずいてはいましたが、時間がかかりすぎていますな。この先空荷で白砂山を獲りに行ったとして、ここに戻ってこられるのは何時になるか…


 でも、行こう!幸い、ここには野反湖に下りるエスケープルートがあるから。タクシー呼ぶことになってでも、行こう!


 ヌオッ(゚皿゚;)
 空荷で出発するも、この雪ヤヴえぐれ道ゾーンの雪深さは腿までありますがな!
 …先が思いやられる…


 道の両側にはハイマツとしゃくなげが。特にこのしゃくなげは凶悪で容赦なく絡みついてきます。


 花がきれいだと言われるしゃくなげ、ふうたろうの天敵です(歯ぎしり


 あの右奥のピークが白砂山だが…


 ここは猟師ノ頭、らしい。2042m。


 うぐぐ…アップダウンが猛烈すぎ(吐き気


 雪もたっぷりです。


 歩いているときは確認しなかったが、あの左のピークが佐武流山のようです。噂では白砂山から積雪期のみ縦走も可能だそうですが…


 雪やつららの重みでサイドの木が登山道に覆い被さってきます。


 そして、遂に最後のアップが!ここから200mほどの標高を上げることになります。


 時間に余裕さえ持てれば。
 ついついないものをねだります。景色の美しさに対する楽しみは半減してしまっています。


 青息吐息で急坂を登り詰めたら、そこはまだ肩でした。本当のピークはあの奥です。


 何気に2~3個の小さなアップダウンに息を切らしながら、何とか白砂山到着。マジでバテました。
 あの分岐より1時間51分かかりました(地図のコースタイムは1時間)。


 白砂山は、通常はそこで行き止まりです。しかし、積雪・残雪期には佐武流山や稲包山などへの縦走もできるようです。実は今回も少し考慮には入れていました。
 稲包山方面は何となく行けそうな気がしますが、どこに下りればバスに乗れるようになるのか判らないので、諦めました。


 一方、佐武流山方面の尾根はまだ雪の量が足りませんか。かなり低木ヤヴに苦しめられそうな予感がします。


 鬱空の彼方に浅間山が見えます。


 さて、それじゃ、あまり時間もありませんので、戻るとしますか…。


 戻りは自分のラッセルを辿ればいいので楽かと思いきや…


 もう少し澄んだ空が欲しいけど、贅沢な要求かな…。


 昼になると気温が上がります。ラッセルのつらさに加えて、今度は雪が溶け始め、わかんにガッツリこびりつき始めます。初冬や早春にありがちな罠です。


 遙か遠くに岩菅山の尾根が見えます。あの岩菅山を200名山の最後(あるいは300名山全体の最後)、つまり、ラストダンジョンにしたいと思っています。


 左奥のピークは八十三山(こう書いて何と読むのか判らない)だそうです。ふうたろうの予定ではこれを渡り歩いて切明温泉方面の道に合流するのですが、どう考えても時間が足りません。


 う~ん…帰りも長い(遠い目


 中央一番奥のピークが堂岩山です。つまり、そこまで戻らないと始まらないという話です。


 その前に、手前の猟師ノ頭を越えねばならんのですがね。


 長かった…


 気温が上がり、日差しもあるので(快晴)、雪が質の悪いうどん粉のようにわかんにくっついてきます。


 あ、雲が出てきましたね。


 あの、「金沢レリーフ」の指導標、行きは気がつかなかったな。


 完全に冬山って感じですね。でも、どちらかというと、12月上旬頃の南アルプス付近のような感じですかね。


 干し寒天のように溶けたり凍ったりを繰り返している木の雪。


 気圧の谷の接近を報せる雲が上空を漂っています。


 長いですな…。でも、自分のトレースがあるだけまだまし。


 ザクザク進まないと、帰れなくなるぞ。


 猟師ノ頭です。白砂山往復の最後のピーク。


 あの堂岩山の脇に荷物を放り投げてきたんですよね。


 このえぐれ道のところに雪がこんもり積もっているのです。圧雪車を回したくなるほど踏み抜きます。


 八十三山。もう、あれを渡って切明温泉、というのは無謀というにも甘いくらいですね。


 さて、ふうたろうの天敵・しゃくなげ雪ヤヴゾーンが待っていますよ。


 しかし、よう歩いてきたなあ…(遠い目


 しゃくなげ雪ヤヴゾーンを抜けました。もうすぐ中盤の終盤が終わり(なんのこっちゃ)。


 ふうたろうが放り投げた荷物がそのままそこに転がっています。


 行って戻ってくるまで、ちょうど3時間30分。空荷でこれですから、かなり厳しい現実ですね。


 10分ほど休んだら、次なる堂岩山に行きましょう。


 ヌオッ(゚皿゚;)
 雪樹林に閉ざされている…


 しかし、それも抜けてとにかく野反湖まで下山せねば。


 白砂山、最後の展望です。


 堂岩山山頂は激しい樹林帯(笑


 県境(長野・群馬)沿いに下っていきます。野反湖が見えてきました。


 本来なら、もう1日、山行日数を加えるべきですね…


 もっとも、この天気も今夜には崩れてくるのですけども。


 雪えぐれ道の樹林帯を抜けていきます。


 雪の下にはたくさんのスリップ罠が(滅


 ふうたろうが無言になり始めます。写真を撮る余裕も失ってきています。


 この野反湖バス停に向かうコース、アップダウンが何気に激しいのです。


 シラビソ尾根、ですか…、そうですか…(うつろな目


 日は相当傾いてしまっています。しかし、時計の針はまだ15時前。


 地蔵山(1802mピーク)の肩にいます。もう、いい加減にしてくれ…


 でも、こういうときこそ余裕を持てなければ、いつまで経っても成長がないような気がします。


 野反湖方面にコースアウトしますよ…


 余裕を持つ精神。


 余裕を持つという精神論を唱えるべきか。


 余裕を持つための行動計画を練るべきなのか。


 しかし現状、後者は、サラリーマンで、公共交通縛りがある状態では難しいでしょうね。


 このコースには、最後の大仕事があります。今、谷に急降下しています。


 ここはまだ谷ではありません。沢筋です。


 なんかこの風景、余市岳(北海道石狩支庁)からスノーモービルの跡をたどって下ったときの絶望感を彷彿とさせます。下ったところから定山渓までのハイパー雪道がきつかったなあ(遙か遠い目


 いちばん底の谷に、ビッグブリッジがかかっています。ここでツルッといってヅドンすると、\(^O^)/オワタです。


 さらに、ビッグブリッジから大いなる上り坂があります。


 50mそこそこの標高差とはいえ、既に果てているふうたろうには千里の道(滅


 ん?(・ε・;)
 どうやら、終わりが近そう。


 野反湖がすぐそこです。
 そうそう、地蔵山から下り始めた前後で、16時半予約で野反湖バス停(今の時期はここまでバスは来ない)までタクシーを呼んでおきました。


 もうすぐコースアウト現場です。


 はいふうたろうが不時着した瞬間お疲れ様でした(ヴォー読み


 走っていないバスの時刻表&バス停ポスト。


 Megapolisをやってタクシーが来るのを待っていました。寒うございました(遠い目
 長野原草津口駅まで、12000円のタクシー代がかかりました。バスも、観光地のバスダイヤとはとうてい思えない(夏でも始発はあの時間帯)ので、ちょっとは考えろよといいたい。でも、公共交通の事情は悪くなる一方ですね。遠距離を結ぶ"線交通"の発達だけはめざましいものがありますが。


 こうして、コースアウトしながらも、何とか白砂山は獲ったわけですが、雪の多さには驚愕でしたね。これからもっと雪の量は増えていきます。でも、そのめまぐるしく変わる季節の山を駆け抜けるのは、実はとても贅沢なことなのだと思います。たとえその最中でどんなにしんどい思いをしても、ね。
 #196草津白砂山クリア。


天気:快晴(群馬県吾妻郡六合村・長野県下水内郡栄村、吾妻線・八高線・東武東上線など)

  1. 好漢(ハオハン)
    12月 17th, 2013 at 14:20 | #1

    いつもながら、厳しい山行されてますね。

    八十三山(やそみやま)と言うのが、WEB検索したら出て来ました。ちょっと、由来までは分らないので、正しい読みかどうか不明ですが、、、
    http://21.pro.tok2.com/~acuphaicarz/yasomiyama-2.html

    堂岩山から白砂山に至る稜線の展望が気に入っています。

    これからの山旅の無事を祈っています。

  2. ふうたろう
    12月 17th, 2013 at 17:49 | #2

     好漢(ハオハン)さん、ありがとうございます。

     この山、11月下旬という中途半端な雪の量・質で登るとエラい目に遭いますね。2~5月くらいの雪の量が十分で、ある程度締まった状態じゃないと、厳しいです。
     それとリンク先の写真、いいですね。いつかのらりくらりと、その尾根、狙ってみようかなあ…

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