セシウムとプタキロサイド
かなり前に、土から塩酸(理論上pH1)で抽出したセシウム液を、測定してみました。さすがに濃いめの塩酸で抽出すると10分の1くらいの濃度の時よりずっとセシウムが溶け出してきているような気がします。
と、まあ、これはそういう実験なのではなく、このセシウム液を使って、農業資材として使えそうな、たとえば籾殻薫炭やゼオライトなどによる吸着と脱着の実験をしたいわけです。土そのものの放射能は高くても、要は土から放射性物質が溶け出してこなければ、野菜や米などに移行することは、理論上有りえないわけです。
話は多少ずれますが、ゼオライトを土に入れると放射能がそのまま減る、という話を聞くことがありますが、それは有りえないと思います。汚染されないゼオライトを入れれば薄まるだけで、減っているわけではありません。でも、ゼオライトに不可逆的に吸着されて、脱着には時間がかかるのであれば、農作物に対する影響は減るでしょう。
…だから、それを実験したいのです。
が、籾殻薫炭をどっから手に入れるのかという問題が。ゼオライトなんてどこにあるのかって話が。しかも、ゼオライトは鉱物資源だから、「持続可能な発展」には反する、かな?
今日はもう一つ、ワラビのプタキロサイド(発がん物質)について調べていました。そして、その論文を読んでいたら完全にチカラ尽きました。
プタキロサイドはブドウ糖と結合した、不安定な構造を持った化合物です。昨日の日記で書いたジエノンというのは、そのプタキロサイドからブドウ糖を剥がしてさらに脱水反応(分子から水1分子分の酸素と水素を取ること)をしたものです。そして、それが発がん物質の本体であるという論文を見つけたわけです。
→ワラビ発癌物質――化学研究とDNA修飾―― 山田静之・小鹿一・木越英夫・杉浦幸雄 (蛋白質 核酸 酵素 Vol.43 No.6(1998))
分子生物学的実験の手法はほとんど理解できないし、NMRなんかも使ったこともないので解らないけど、最近トレンドになっている活性酸素による打撃とはまったく違う機構で起こっているというもの。そして、その発がん物質は中性~酸性でプテロシンBに変化して活性を失うと。
この化学的性質なら、あく抜きの際に仮にジエノンが若干ワラビに残っていても、胃酸で酸性になったあと水や食物の蛋白質等と反応して、ここで問題になっている*人間細胞のDNA*に反応するためのジエノン歩留まりが減っているので、イケるというわけです。先人の知恵はすばらしいですな!
ふうたろうも遺伝子工学や有機合成化学のところをもうちょっとかじっていれば良かったなあと思った昼下がりでしたが、それよりもまた胃ムカムカ症候群でダウンしたという罠(滅滅滅
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