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アブラを通して考える農薬抽出と国際関係

2007年5月22日

 今日の農薬抽出、昨日ほどではないけど、やっぱり大変。それは、大豆のアブラ!レシチンという天然の界面活性剤が、大豆には含まれています。そして、このレシチンもまたある意味、アブラです。そして、大豆には、それから搾られた油が「大豆油」といわれるに足るほどの中性脂肪(サラダ油みたいな油)が含まれます。レシチンが界面活性剤であるということは、極言すれば中性脂肪(大豆油)と洗剤が混じっているということと同じです。洗剤もまた、界面活性剤だからです。つまり、フラスコの中で、油が油らしく振る舞ってくれないのです。
 ところで、普通はアセトニトリル(CH3CN)とヘキサン(C6H8)という二種類の有機溶媒はあまり溶け合いません(イタリアンドレッシングのようになります)。この溶け合わなさを利用して、油をヘキサンに、多くの農薬をアセトニトリルに、それぞれ溶かします。油を含んだ農作物の抽出物に、この二種類の溶媒を入れて振るだけ。このあと、アセトニトリルの部分だけを使えば、農薬を取り出すことが出来ます。
 ところがッ!このレシチンが居ると、溶け合わない二つの溶媒が、エマルジョン(フレンチドレッシング)になり、アセトニトリルだけを取り出すことが出来ません。もちろん、フレンチドレッシングほどひどくはないのですが、遠心分離でもしなければ、油を取り除くことは、ほぼ、無理。
 そこで、まったく違う方法で油を取り除きます。それが、お馴染みのミニカラム(特殊なプラスチックの粉を詰めた筒)を使って、油と農薬を分離する方法。…でも、油の量があまりにも多すぎて、真っ白だったミニカラムは、油ぎれの悪いマク○ナルドのハッシュポテトのようです。
 …こうして、大豆に苦しめられながらも、19時前に終了。

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