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果物の色

2006年10月12日

 苺、柿、桃、キウイ、バナナ、葡萄…いろんな色の果物があります。僕は柿とバナナを除いて、非常に好きです。柿やバナナも食べますが、香りの少ない柿や水分の少ないバナナはそれほど好物でもありません。
 …と、そんなことを話したかったんじゃなかったか。果物の色の話。苺と柿の農薬を抽出しました(農薬が出るかどうかは判らない)。苺の赤、柿のオレンジ(黄色?)は似たもの同士でしょうか。

 真っ赤な苺をアセトンに溶かすと茶色っぽくなります(左)。一方、柿は色が薄まっただけです(右)。
 再びアセトンを蒸発させました。

 苺は真っ赤になりました。柿の方は色が少し濃くなりました。
 苺の方は、水に溶けやすい、アントシアニンという色素。柿の方は油に溶けやすいカロテノイド(カロチン)色素。赤とオレンジじゃ似たような色なのに、性質が違う。それもおもしろいけど、溶かしている液体(アセトンなり水なり)によって色が変わるアントシアニンもおもしろい。
 ちなみに、チョー赤い苺のカロチン量は18μg/100g、色の薄い柿の方は420μg/100g(『五訂食品成分表』女子栄養大学出版部より)だそうです。

 今日は職場に来客。大学時代、凄く世話になった人でした。何気に、新聞の取材でした。記事に生物のおもしろさを載せたいそうです。明日が締め切りだというのがいかにも活動家時間。特に若い女性たちなのに、そんな労働させててええんかいな。
 それはともかく、遺伝の話ということで、イネ(うるちとモチ)のキセニアの話でもしました。モチ米の田んぼに、うるち米の花粉が入ってくると、モチ米の出来るはずがうるち米になる可能性がある。これをキセニアというようです。キセニアの概念は僕の頭の中では図になっているのですが、言葉で話すと、結構ややこしいということが解りました。体細胞分裂と減数分裂、花粉や胚嚢(はいのう)という種子の元になる部分の生成、そしてメンデルの遺伝の法則などを理解していなければなりません。高校で教えてもらったとき、みんな、解らないとぼやいていた記憶があります。
 花粉の中に出来た精細胞と、雌しべにある胚嚢の中の極核二つが受精して、将来胚乳になります。例えば、精細胞がウルチ型(遺伝子型:A)で、二つの極核がモチ型(遺伝子型:a・a)の場合、受精した極核と精細胞の接合体は、優性のウルチ型(A)を含んでいるため、うるち米(遺伝子型:A・a・a)になります。モチ米の田んぼにうるち米の花粉をやたらとかかると、うるち米とモチ米の混合物が出来て、等級は落ちるでしょう。
 ただ、イネは基本的には自家受粉をするそうなので、自由交配の理論値とはだいぶ食い違うと思います。
 ところで、今日ネットであるページを見ました。このキセニアを、遺伝子組換えイネの実験で、花粉が飛散しているかどうかのチェックに使っているそうです。遺伝子組換えのうるち米を育て、その周りにモチ米を育てます。モチ米はそれ単独なら必ずモチ米しかできないので、もしモチ米にうるち米が混じることがあれば、遺伝子組換えのうるち米花粉が飛散していることになります。モチ米田んぼの米を一万粒調べて、一粒のうるち米が入っていれば、PCRで再検査するそうです。ただ自家受粉が基本のイネで、この一万粒は十分な数なのかどうかは解りません。

 キセニアを楽しんでも、心の病は残ります。帰り、『共依存かもしれない』(大月書店 ケイ・マリー・ポーターフィールド著)を読んでいました。今の僕の幸福度の低さが、この「共依存」に関係していることが疑われました。「しばしば自分は人より劣っている」とか、「自分は何一つまともに出来ない」とか、とにかく自己肯定に関するところは極端に弱い。そして、過去の経験から、恋愛対象に、自分の不幸を埋めてもらおうとしたこともあります。今もそう願っているかもしれません。これではとてもじゃないが、人とまともに付き合えるはずもない。かといって、孤独に生きることもまた違います。まだ読みかけのこの本、どうケアしていくのが適切か、そこが知りたい。
 ところで、さっきのキセニアの話。好きだからやっているのか、逃げでやっているのか。今回は前者だと思いたい。

天気:晴れ時々くもり(茨城県取手市・東京都板橋区)

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