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情景一致

2006年10月8日

※記録:10月9日

 …抜けるような青空。満月が海の道を作った翌朝は、太陽が房総半島までつながる海の道を作りました。大気汚染も環境破壊もない、光の道。

 4時まで起きていて、仲間と語り明かしました。そのツケは大きいぞ。朝ごはん時はべらぼうに気分が悪く、殆どエネルギーを身体に取り込めず。
 食後は『格差社会とジェンダー』の討論です。僕はみんなに問いかけました。「(男女)平等とはなんぞや」と。
 討論には老若男女が15人以上おります。あからさまに年配の方と20代くらいの若年者との語り口は違います。年配の方は具体的に、家事や賃金差別などを取り上げます。一方の若年者(僕以外女性でした!)は、「コミュニケーションとして平等を培う努力が必要」「違いを認め合う」という個人レベルでの関係、加えて、「その条件整備をする社会システムを作ること」を中心的に述べます。
 若い人の経験は年配者のそれに比べて圧倒的に少ない。しかし、どうしたことか、平等を定義する議論、あるいは確立する議論となると、具体的事例だけでは包括しきれない。僕はこの分科会の代表で感想発表をすることになりますが、この討論は次につながるものになったと言えます。

 午後からは三浦半島の観光です。実は、半島観光以外のコースもたくさんあり、学習コースさえあります。しかし、僕はあえて、観光を選びました。「学習交流集会」という名前に反するのではないか。少なくとも、僕はそんな位置付けで観光をやりません。だから、反しません。観光は交流を中心命題とならざるをえませんから、一つの議題に固まった学習会や見学よりも、生身の人間がでます。強いて言うなら、この半島観光コースは、「人間の学習コース」でした。…オーバーかしら。
 現に、このコースを選んだのは正解でした。油壺(あぶらつぼ)、城ヶ島(じょうがしま)、北原白秋の館、地元の魚市場や魚料理を扱う飲食店の集まる三崎港など、各所を回る過程で、自然や生活の風景を見ることは当然です。仲間とのコミュニケーションや、降りかかるトラブルなど、一つ一つが僕には目一杯の感性を使うところです。僕にとっては、何にも勝る最大の「学習コース。」
 油壺の海。散策道は熱帯植物のようなものが覆っています。また、油壺の海は非常に入り組んでおります。リアス式海岸を思わせますが、沈降によってできた地形なのかは解りません。

 油壺からは城ヶ島行きの船に乗る桟橋が架かっています。その傍らで、もう秋だというのに海水と戯れる子どもたち、さっそうと海を横切るヨット。すべてを抱擁する海はきらめいています。

 そうそう、このコースはさっき述べたように、僕一人で感動していたわけではありません。広島のFさん、茨城のMさん、愛知のSさんという同年代や20人ほどの年輩の仲間たち。その感動を共有していました。同じ船の同じ位置から動こうとしない僕ら4人。その船を追いかけるかもめたち。船の向こうで、青い空に突き刺さるようなプロペラの風車。そして深遠なる青い海。仲間との感動の共有は僕の感性をさらに大きくしてくれます。ありがとう。
 船の上はとても揺れます。それでもカメラのシャッターは放さないぞ。かもめと釣り人、その向こうに回る風車。本当は共有する仲間たちの姿も載せたいけど、御法度。

 今一度、城ヶ島に上陸。南側の断崖絶壁から、太平洋と伊豆大島。光と水の粒に霞む小さな島。

 島と言えば、石垣島や天売島などでも猫がいっぱいいたっけ。この城ヶ島でも猫がわが物顔で寝ています。実家の猫を思い出すなぁ。ふてぶてしいあの猫たち。

 城ヶ島には馬の背というところがあるようです。なるほど、馬の背です。低気圧が過ぎ去った2日後ということで、風が強く、波が荒い。馬の背の岩にしぶきを上げます。

 北原白秋館。…閉まっていました。でも、良いんです。仲間がいる旅。何があっても、笑って過ごせるさ。白秋館の真上を通る城ヶ島大橋。これで城ヶ島の住民も生活はしやすくなったでしょう。また、白秋館からは対岸の半島の漁港。遠洋マグロ漁船でしょうか。

 このあと、4人で、三崎港で飲食。結構高いね。

 ふぅ、なんて長い一日だ!ホテルに帰ってきてから、今度はマグロ捌きのショーを付けた青年交流会。写真の職人の真剣な顔を見よ!

 ここまで来て、今日の僕の心。とにかく、感動はいっぱいありました。しかし、本当は、出会いという感動、人の優しさに触れる感動が、今日のどの自然の景色よりも強かった。馬の背で具合が悪くなった時に側にいてくれた人たち。翌日の分科会の感想発表に当たって、一緒に発表の台に立ってくれるFさん、Fさんとはよく本音で話した。間違いなく、嬉しかった。

天気:快晴(神奈川県三浦市)

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